「内海、」


そう呟いた西田さんは、内海君に歩み寄った。


「あれ、どうした?」


内海君は嬉しそうに戸惑って、しっかりと両手を広げている。


「“会いたかった”ってことじゃないかな?」


私がそう言うと、西田さんは「んなわけないし!」と叫ぶ。


「はいはい、そんなわけないよね。マリちゃんが俺に会いたいわけがない。なぁ!俺、ちょっと急用がはいった!」


カムのメンバーに向かってそう叫んだ内海君は、西田さんの肩を優しく抱えて、歩き始めた。


カムのみんなは、仕方がないなー、みたいな顔をして、手を振っている。


西田さんがまたつっけんどんなことを内海君に言っちゃう前に、「行ってらっしゃい」と手を振る。

そして栞ちゃんも「シート使っていいからね!」と叫んだ。



「落ち込んだ時の特効薬はやっぱ内海君か!」

「……そうみたいだね」