「もう寝たかな」

閉店ギリギリまでカフェで時間を潰して軽く夕飯を済ませると、自宅がある最寄り駅に帰ってきた。

「山城さん」

その声に視線を向けると、
「あ、菅谷さん…」

宇奈月さんの秘書の菅谷さんだった。

「お久しぶりです」

そう言って頭を下げた菅谷さんに、
「…お久しぶりです」

私は頭を下げた。

宇奈月さんが迎えに行くように頼んだんだな、これは。

別にそんなことをしなくてもいいのに…と思ったけれど、
「遅いので車に乗ってください」

菅谷さんが車に乗るようにと言ってきたので、車に乗ることになってしまった。

私が乗ったことを確認すると、車は走り出した。

「お仕事ご苦労様でした」

運転しながら声をかけてきた菅谷さんに、
「…ありがとうございます」

私はお礼を言った。