ちょうど部屋の奥の隅っこが空いていたのでそこに腰を下ろして落ち着くと、また同僚たちがガヤガヤと話し始めた。
一緒にここまで来た広沢くんは、入口のところで同期や先輩に捕まって、何やら楽しそうに話している。
少し距離はあるものの、私の一番近くに座る羽目になった女子社員が、気まずそうにときどき私をちらちらと見ていた。
私と会話したほうがいいのかとても悩んでいるのだと思う。
私はその視線に気付かないフリをして、近くにあったドリンクメニューを手に取った。
飲み会が始まるまで、そのメニューを眺めて暇をつぶす。
会が始まってからは、同僚たちが気を遣わないように、なるべくひっそりと気配を消しながらビールを数杯飲んだ。
気配を消して飲み食いするのに疲れて、食べた割にはお腹が満たされなかった。
その間、今日のメインの菅野さんは同僚たちにいろいろ話しかけられて楽しそうにしていたし、幹事の広沢くんと秦野さんは、居酒屋スタッフにオーダーを伝えたり、全体を気遣ったりで忙しそうだった。



