目を逸らせないくらいに真っ直ぐに見下ろされて、表情には出さないものの内心ではひどく困っていた。
「飲み会は役職者がいない方が気を遣わずに楽しめるでしょ?私が不参加だと何か問題でも?」
なるべく淡々とした口調で訊ねたら、広沢くんがすぐに言葉を返してきた。
「俺にとっては大問題です。こういう機会でもないと、碓氷さんのこと誘えないんで」
「え、何?」
意味がよくわからなくてほんの少し眉根を寄せて考えていると、その隙に広沢くんが私からボールペンと出欠表を奪い取った。
「で、碓氷さんが不参加の理由はなんですか?」
なぜか怒ったように問いかけてくる広沢くんの表情と声音に、私らしくもなくちょっと怯んでしまう。
「理由、は……さっき言ったように、私が行くとみんなが楽しめないからよ」
広沢くんが放つ妙な圧力に押されて、歯切れ悪く答えると、彼が私の目をジッと見た。