「今回は俺と秦野の意向で、役職者にもお声かけすることにしたんです」
そう言われてよく見ると、出欠表一覧には私より上の立場にある企画部長の川口さんの名前もあった。
けれど、不参加のほうにチェックがされてある。
「ふーん」
建前上、気を遣ってくれたってことね。
広沢くんが差し出してきたボールペンをおもむろに受け取ると、私も企画部長に倣って不参加にチェックを入れた。
「はい、どうぞ」
「碓氷さん、この日は何か予定あるんですか?」
用紙を返そうとしたら、広沢くんがなんだか不服そうに見下ろしてきた。
「だって、川口企画部長は不参加なんでしょ?」
「そうじゃなくて。碓氷さんの予定です」
首を傾げた私に、広沢くんが切り返してくる。
「ちなみに、川口企画部長はお子さんのお誕生日で不参加だそうです。碓氷さんにもどうしても参加できない予定があるんですか?」



