その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



「誤解って?」

「ほら、いつだったかここで広沢くんと話してた同期の男の子たちとか。あとは、秦野さんとか」

「秦野?」

私が彼女の名前を出すと、広沢くんは不思議そうに首をかしげた。


「仲良いんじゃないの?この前のミスのときも、彼女のこと庇ってたでしょ」

「それって、同期としてって意味じゃないですよね?」

「うん、まぁ。そうかな」

「仲はいい方だと思うけど、碓氷さんが思ってるようなのとは違います。俺と秦野が特別な関係にあるように見えました?」

広沢くんがちょっと真剣な目をして問いかけてくるから、私は困ったように笑った。


「そう、ね。少なくとも、秦野さんのほうはあなたをただの同期としては見てないのかなぁって感じがしてたけど……」

遠慮がちにそう口にしたら、広沢くんがきゅっと唇を引き結ぶ。

その表情がなんだか怒っているように見えた。