「だったらせめて、少しくらいは労わせてください」

「どういう意味?」

「コーヒー奢ります」

そう言ったかと思うと、広沢くんは私を自動販売機がある休憩室のほうに引っ張っていった。


「仕事が立て込んでるんだけど……」

「だったらなおさら、少し休んでください」

広沢くんはそう言うと、自動販売機で缶コーヒーをふたつ買って、そこにある設置してある椅子に無理やり私を座らせた。

隣に座った広沢くんが、私の手に缶コーヒーをねじ込んでくるから、仕方なくそれをいただくことにする。

労わせろとか、休めとか言うわりに、隣に座る広沢くんがただ黙りこくってコーヒーを飲んでいるから、何だか気まずくてあまり落ち着かなかった。


「こんなとこでふたりで休んでるのが見られたら、同僚に誤解されるんじゃない?」

広沢くんから少し距離を取るように腰をずらすと、彼が訝しそうに振り向いた。