その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



「確氷さん。あんな態度取っといて、その言い方は可愛くなさすぎです。俺が欲しいのはそんな答えじゃなくて……」

頬に触れられた手に私の手を重ねると、不満げに私を見下ろしていた広沢くんが口を閉ざした。


「だけど、広沢くんの前だとこの頃おかしい。私はあなたのことになると、今までみたいにうまく体裁が保てない」


重ねた手を思わずぎゅっと握ると、広沢くんが空いているほうの手で口元を覆う。

彼の顔にじわじわと笑みが戻ってきて、それからついに堪えきれないように笑った。


「何ですか、それ。確氷さん、めっちゃ可愛いんですけど」

「何が……」

反論しようとする私を見下ろして、広沢くんが愉しげにクスクス笑う。

それを呆れ顔で見つめていたら、ひとしきり笑ったあとに彼が顔を近づけてきた。

コツンと額同士がぶつかって、目が合ったかと思うと彼が蠱惑的に微笑む。