その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―




堅い表情を崩さない私に、広沢くんがため息をこぼすようにささやいた。


「そろそろ認めてくださいよ。本当はもう俺のこと好きでしょ?れーこさん」

核心を突いてきた広沢くんの指摘のせいか、彼が私の名前を呼んだせいか。

もしくはその両方が引き金になったのか。

その瞬間に、自分でも戸惑うくらいに体中の温度がぐっと上がった。

顔が耳の先までひどく熱くて、鏡で確かめなくても自分の顔がどうなっているのかわかる。


あれほど、動揺を見せないように気を張っていたのに。

これくらいで、気持ちを隠しきれなくなりなんてどうかしてる。

顔を隠そうと慌てて額に手を置くと、広沢くんが驚いたように数回瞬きをした。

それからすぐに、思わずといった感じでにやりと引き上がった口元を隠すように手のひらをあてる。


「いや、ちょっと待ってください。まさか、確氷さんがそんな反応してくれると思わなくて。今ちょっとヤバいんですけど……」