「今のセリフ、俺の目を見てもう一回言ってください」
「何……?」
「『私には関係ない』って。オフィスでの碓氷さんみたいに、無表情できっぱり切り捨ててくれるなら、俺はあなたの言うことを聞きます」
私を真っ直ぐに見つめる広沢くんの目は、これまで以上に真剣だった。
「いいわ。広沢くんが誰と何をしていようと、私には関係ない」
目を見て言えと言われたのに、私を見つめる彼の瞳を直視できない。
視線も声も揺れてしまうのを、うまくごまかしきれそうになかった。
「早く、この手を離して……」
ふたりきりの会議室から一刻も早く逃げ出したくて、顎に固定された広沢くんの手を退けて顔を背ける。
「本気でそう思ってるなら、そんな期待させるような顔しないでください」
広沢くんがつぶやく。
「何のこと?」
「気付いてないんですか?確氷さん、さっきから今にも泣きそうな顔してます」



