その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―




「碓氷さんは、俺が秦野とふたりでメシ食いに行ってても平気ですか?」

「当たり前じゃない。どうしてそんなこと聞くの?」

「酒飲んで、酔った勢いで秦野のこと持ち帰っちゃっても?」

「好きにしたらいいんじゃない?」

素っ気なく答えながら、頭の中にさっき私を包んだ腕が秦野さんを抱きしめる広沢くんの姿が浮かぶ。

勝手に想像したくせに、確かな胸の痛みを感じてしまう自分が嫌で広沢くんから目をそらした。


「碓氷さんが行くなって言ったら、秦野との約束は断ります」

そのまま立ち去ろうとしたら、広沢くんが私の手首をつかんで引き止められた。

「行ってくればいいじゃない。同期同士で楽しんでくればいいと思う。私には関係ないことだから」

目をそらしたまま言うと、広沢くんが私を引き寄せる。

至近距離で視線が交わって慌てて顔をそらす。

だけど、広沢くんが私の顎をつかんで無理やり正面に向き直らせた。