「一度一緒に出かけて、食事にも行ったかな。相手はどう思ってるか知らないけど、私は少し気になってる」
そう話しながら私が思い浮かべているのは、広沢くんとふたりで日曜日に出かけたときのことだった。
本当は知り合いに紹介されている人なんていない。
だけど今の状況は、彼から私への好意を消し去るにはちょうどいいんじゃないかと思う。
若くて将来性があって、秦野さんのような魅力的な女の子に好意を寄せられている広沢くんが、このまま私なんかに好意を抱いていてはもったいない。
それにこれ以上彼から好意を向けられ続けていると、きっと私のほうがおかしくなる。
今日みたいに、他のことに気を取られて仕事が手につかないようでは困るのだ。
「答えたから離して。仕事に戻らないと」
そう言いながら、広沢くんの腕を引き剥がす。
「碓氷さん、それ本気で言ってます?」
「本気に決まってるじゃない。広沢くんだって、早く仕事片付けたほうがいいんじゃない?今日は秦野さんと約束があるんでしょう?」
微笑みかけながら振り向くと、広沢くんがじっと私を見据えて言った。



