その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



「ずっと気がかりだったから、そう言ってもらえてよかった。変わらず仕事は頑張ってるみたいだね」

「そうですね。他に特別趣味もないですし」

そんなつもりはなかったけれど、言い方が少し素っ気なく聞こえたかもしれない。

私を見て北原さんが苦笑いしていた。


「そういうところは変わらないな。礼子はあまり表に感情を出さないし、自分にも他人にも厳しく見えて誤解されがちだけど、本当はいつもよく周りを見て人のことを考えて動いてる」

「そんなふうに思われてたなんて、初めて知りました」

「口に出して言ったのは初めてかな。礼子のそういうところを評価してたから、君とゆっくり話したいと思って食事に誘ったんだよ」


そういえば部下の仕事のフォローのために最後まで社内に残っていたときに、支店内を見回りに来た北原さんに声をかけられて食事に行ったことが、その後の付き合いに発展するきっかけになった。

今思い出すと懐かしい。