その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―




今日はまだ月曜日だし、提案が急過ぎる。

企画部長が私の名前を出したことで、不満そうな視線が私のほうにいくつも送られてきて、なんだか居た堪れなかった。

居づらい空気を感じて恐縮する私だったけれど、急な提案をした企画部長のほうは他の社員たちの微妙な空気には気付いていないらしい。

場の空気も読まず、北原さんと個人的な会話を繰り広げていた。


「あの、碓氷さん。私は今日はちょっと……」

近くの席に座っていた菅野さんが申し訳なさそうに眉尻を下げる。

それを皮切りに、他の部署の何人かも参加を断ってきた。


「すみません……」

謝罪を口にしたあとの彼らの表情が、面倒ごとから解放されたようにほんの少し緩むのがはっきりわかる。


「大丈夫。急なことなので、気にしないでください」

次々と不参加を申し出てくる人たちに対応していると、不意に横顔に視線を感じた。

ふと横を向くと、企画部長と話していた北原さんと目が合った。