その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―






北原さんを交えた多部署との合同のミーティングは、16時頃から行われた。

それぞれの部署の代表が現在の取り組みなどを報告するのを、かつて支店長だった北原さんは興味深げに聞いていた。


「どうもありがとう。俺がいたときにはなかった新しいプロジェクトの取り組みも聞けたし、参考になったよ」

1時間ほどミーティングが終わるのと同時に立ち上がった北原さんがそこにいる全員の顔を見渡して笑う。

そういえば北原さんは、支店長時代からその場にいる社員全員に気を配ることのできる人だった。

ミーティング終了後の光景を懐かしい思いで見守っていると、私のそばに座っていた企画部長が前に進み出ていった。


「今日は19時頃から北原さんの歓迎を兼ねた親睦会をやろうと思っています。企画部の碓氷に参加できるかどうか知らせてください」

企画部長が大きな声でそう言ったとき、ミーティングに参加していた社員たちの空気が少し騒ついた。