その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―




モヤモヤとした気持ちを抱えながらデスクに戻ると、ミーティングルームにドアが開いて北原さんと企画部長が出てきた。


「じゃぁ、2日間よろしくお願いします」

ふたりのそんな会話が聞こえたあと、北原さんは他の部署を見に行くのか企画部から出て行った。

北原さんが出て行ったあと、企画部長は部署の社員の何人かを個別に呼び出して何か話していた。

大きな声で話す企画部長の話が私のデスクまでときどき漏れ聞こえてくる。

そのメンバーの中には広沢くんもいた。

何人かの若手社員が呼ばれたあと、企画部長から私にも声がかかる。

呼ばれて行くと、企画部長から資料を一部渡された。


「今日の午後と明日の午後の2日間でビルの会議室が空いている時間を確認してくれ。うちの部署と他部署から何人か集めて北原さんに支店の現状報告を含めたミーティングをすることになった」

「わかりました。2日ともですか?」

「2日ともで頼む。今日は午後なら何時でもいいが、明日は北原さんが東京に帰らないといけないから、できれば16時までで」

「わかりました。私も参加した方がいいですか?」

「そうだな。スケジュールを空けといてくれ」

「わかりました」

企画部長に応えながら、頭の中で今日の仕事の計画を考え直す。