謝罪に来た私たちを出迎えたのは、坂上さんという私より10歳ほどは年上に見える大柄の男性だった。

通された応接室で深々と頭を下げる私たちを、彼は侮蔑のこもった瞳で遠慮なく見てきた。


「広沢くんに初めて会ったとき、随分若い担当者だなとは思ったが……その上司が彼といくつも年が違わなそうな女性とは。うちとの仕事には始めから手を抜いてたということかな」

嫌味たっぷりのその言い方に少し腹が立ったけれど、私は頭をあげずにもう一度謝罪した。


「こちらの手違いに関しましては、深くお詫び申し上げます。ですが、決して御社との仕事において手を抜いていたということはございません」

「どうだか。それより、この使えない広告はどうしてくれる?広沢くんには今回の広告には特に力を入れていることは充分説明したはずだし、この広告の制作にかなりの予算を割いたんだ。それが全部台無しだよ」