広沢くん自身が、最後の作業を人任せにしたことを反省しているらしい。
私も敢えて聞くつもりはなかったけれど、広沢くんもデータの送信を頼んだ相手の名前を決して言おうとはしなかった。
「すみません。俺のミスです」
「それで?先方は何て?」
「今すぐに、ミスのあった広告を全て引き取りに来て謝罪しろ、と」
「そう言われてあなたは何と答えたの?」
「何も……どうすればいいのかわからなくてただ謝っているうちに、先方が怒って先に電話を切りました」
「そう……」
私は少し考えてからため息をついた。
「広沢くん、今から出られる?私も一緒に行くから、きちんと謝罪しに行きましょう」
「え?今からですか……?」
「そうよ。こちらのミスだもの。ちゃんと謝罪して、例え許してもらえなくても誠意は見せないと」