「何?」

顔に何か付いてる……?

あまりに凝視されるので、気になって頬に手をあてる。

そんな私の行動を見て、広沢くんがニヤリとする。


「このあと、どうしますか?」

「どうする、って……帰るんじゃなかったの?」

「そうなんですけど。なんかこのままれーこさんのこと真っ直ぐ家に返しちゃうのももったいないかなーって」


お酒も飲んでないのに妙なことを言い出す広沢くんに、頬の筋肉が引きつった。

無言になっていると、広沢くんが小首を傾げて私の顔を覗き見てくる。

薄暗い車内で、私を真っ直ぐに見つめる広沢くんの瞳がビー玉みたいに綺麗に見えた。


「デートの終わりに、エッチなことできるようなところにでも寄って行きます?」

私を見つめて悪戯っぽく微笑んだ広沢くんが、そんなふうに誘いかけてくるから、思わず心臓がドキリと跳ねた。

明言されたわけでもないのに、広沢くんの発言から想像してしまう場所がひとつしかなくて。

条件反射的に、頬が熱くなる。