妹夫婦と乃々香、それから私で行ったサプライズのお祝いを、父はとても喜んでくれていた。

私の言葉を聞いた広沢くんが、大きくひとつ瞬きをする。

きょとんとしている彼から視線を外して目を伏せていると、クスリと笑う声が聞こえてきた。

その笑い声がしばらく続くので、ややふてくされ気味に視線を上げてみる。

すると、組んだ両手の上に顎をのせてこっちを見ながらクスクスと笑っている広沢くんと目が合った。

可笑しそうに笑っている広沢くんだけど、私を見つめるその瞳の奥はとても優しい。


「じゃあ俺も、特別なときに使う場所のリストにこのお店を入れますね。家族のお祝いとか」


広沢くんが最後の一言を強調して、またクスリと笑う。

私は無言で彼から顔を背けた。