「これ、訂正したの?」

「はい」

私の問いかけに、彼女がはっきりと頷く。


「目を通してみたけど、以前に出してもらったものとの違いがわからないんだけど」

「そんなはずないです」

「でも、ほとんど変わってないわよ。この前のミーティングで話し合ったことをもう一度思い出して、内容を練り直して。それに、相変わらず誤字脱字が多くて全体的に文章が稚拙」

持っていた資料をぽんと手前に投げるように置くと、彼女が引きつった顔でそれに手を伸ばした。


「友達に宛てた手紙じゃないんだから、提出する前に最低限誤字脱字がないかは自分で確認して。それから、期日は守ってね。提出が間に合わなければ、既に企画書が通ってる広沢くんの案のほうを使わせてもらうから」

私の声を聞く彼女の瞳に、じわりと涙の膜が作られていくのがわかる。