「どうもありがとうございました。先に受け取っていたパンフレットの仕上がりがとても好評だったので、また機会があればぜひお願いします」

無事に残りのパンフレットを受け渡して確認を済ますと、企画部長の知り合いでもあるイベント責任者の方が笑顔で私たちに頭を下げた。


「こちらこそ、よろしくお願いします」

私が深々頭を下げると、ちょっと遅れて広沢くんも頭を下げる。

それから少し他愛もない話をしていたけれど、責任者の方がイベントスタッフに呼ばれたタイミングで私たちはその場を離れた。

無事に間に合わせることができてよかった。

イベント会場の出入り口でようやく肩の荷が降りてほっとした。


「ありがとう、広沢くん。休日に出てきてもらって申し訳なかったけど、とても助かったわ」

広沢くんが手伝ってくれたおかげで、私がひとりでタクシーで運んでくるよりもずっと効率が良くてスムーズだった。


「お役に立ててよかったです。間に合ってよかったですね」

改まってお礼の言葉を口にした私に、広沢くんが優しい目をして笑いかけてきた。