その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



「何買ってきてくれたんですか?」

「あー、パンとかおにぎりとか。いろいろ」

広沢くんの隣にやってきた秋元くんが、中を見ようとコンビニの袋に手を伸ばす。


「ちょっと待て。先に碓氷さんから」

けれど、広沢くんは食べ物を選ぼうとしていた秋元くんから袋を奪い取って私のほうに押しやった。


「あ、そーっすよね……」

秋元くんが申し訳なさそうに手を引っ込める。

頑張って作業してお腹も空いているだろうに、気を遣わせて可哀想だった。


「私のことは気にしなくていいから。先に選んで」

苦笑いを浮かべながら秋元くんのほうに袋を押し返すと、広沢くんが不服そうな顔をする。

その横顔をちらっと見た秋元くんが、私に気を遣って首を横に振った。


「いえ。大丈夫です。先輩の碓氷さんからで」

「そんなこと気にしないでいいのに。足りなければ私は自分で買ってくるから。まず3人でいるだけ食べて」

私が見ていると気を遣わせるだけよね。

そう思ったから、コンビニ袋にはそれ以上触れないことにした。