その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―




部署の同僚たちは、黙々と作業を続ける私たちを横目に見ながらひとりふたりと帰って行ってしまい……

定時を2時間ほど過ぎた今、社内には私と秋元くんと菅野さんの3人しか残っていない。


「ふたりとも適当なところでもう帰っていいわよ。印刷さえ終われば、私が持ち帰ってもいいんだし」

「大丈夫ですよ。もうちょっと一緒に作業します」

「私も大丈夫です。というか、私のミスなので……」


もう一度声をかけてみたけれど、ふたりとも作業の手を止めようとしない。


「ありがとう。疲れたら休憩はとってね」

そう声をかけたとき、すっかり人気のなくなった廊下を誰かが歩く音が聞こえてきた。

その足音は企画部の部署のほうに近づいてきて止まる。


「遅くなってすみません。お疲れ様です」

その声に顔を上げて振り返ると、ちょうど広沢くんが入り口から戻ってくるところだった。


「作業、どれくらい進みました?」

真っ直ぐに私のほうに歩み寄ってきた広沢くんが、チラシを挟み込んで完成させたパンフレットの束に視線を向ける。