にやにやしてソファーに軽く寝転ぶ広沢くんを呆れ顔で見つめる。

ため息をつきながら広沢の正面に回り込んで屈むと、彼が私をジッと見てきた。

改めて近い距離で見ると、整った顔立ちをした綺麗な子だなと思う。


彼が私の部下ではなくて、年齢がもっと近かったら。

こんなふうに真っ直ぐ見つめられて思わせぶりな態度をとられたら、少しはときめくのかもしれない。

でも私にそんなことしてみたって無駄だし、色気を使ってみる相手が間違ってる。

そんなことを思いながら、広沢くんの顔を見つめて頬杖をつく。


「酔っ払って帰れなくなるほど飲んでないでしょう?そんなに動けないなら、下にタクシー呼んであげるけど?」

私が冷たくそう言うと、広沢くんが不貞腐れたように顔をしかめた。


「そんなに追い出したいですか?俺のこと」

「追い出したいんじゃなくて、帰ってもらいたいの。ここは私の家だから。そっちだって、お客さんならもうちょっと家主に遠慮すべきでしょう?夜遅いんだから」

「わかりました」

広沢くんが渋々といった感じでソファーから体を起こす。