その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



「だけど、秦野には連絡先教えてるんですね。あいつ、碓氷さんに普通に電話かけてましたもんね」

「秦野さんには最近連絡先を教えたの。今、少しだけ彼女の取引先とのやり取りを手伝っているから」

「へぇ。でも、俺がトラブってフォローしてもらったときは、そういうのはなかったですよね」

皮肉っぽくそう言われて、一瞬口を噤む。


「それは、時と場合に寄るでしょ。そんなことより……今日は広沢くんが秦野さんの取引先に同行したの?彼女から電話がかかってきたとき、会話の中にあなたの名前が出たような気がしたんだけど」

「同行はしてません。俺も他に仕事があったんで。でも、前日に資料コピーを手伝ったときに軽く目を通してたんで、相談にのって少しフォローはしました」

コピーをお願いしただけなのに、内容まで軽くチェックしていたなんて。

さすがだな、と思うと同時に、何を思って彼には関係ない秦野さんの仕事の資料をチェックしたのだろうと思うと、なんだか気持ちがモヤっとした。