「あれ?メール送り忘れてない?」
「ちょっと!
勝手に携帯見ないでよ」
「ごめんごめん!
でもこれ…未送信」
「後で親にメール
送ろうと思ってただけ!
ほら、返して?」
「なんだー」
…私の携帯には
常に未送信ボックスに
メールが一件ある
「早くおくりなよー
内容忘れちゃうよ?」
「はいはい
すぐ送るって!」
内容を忘れる訳ない
「何で焦ってんの?」
「焦ってない!
勝手に携帯見られたから
怒ってるの」
「え、ごめーん」
「もう良いよ…」
プルルルル
「あ、彼氏からだ
うちもう帰るねー?」
「うん、ばいばーい」
「メール早く送りなー」
「…うん分かってる」
「じゃあねー」
…あー焦った
でも本当に送って
いいのかな?
送り先はあなたが
今から会いに行く人
なんだけど?
半年前……
あなたに譲ったこの恋
「俺、お前が好きなんだ」
「え……」
「返事はいつでも良いから…じゃ」
2年前、
彼に告白された
私も、彼が
大好きだった。
「返事は‥メールでしよう」
"私も、あなたが大好きです"
私がそう打った途端、
あなたがやってきて
「ねぇ聞いて!私、好きな人できた!」
「……え?」
あの日から
いまだに未送信の
このメール。
内容…
忘れるわけないじゃん
"私も、あなたが"
「今も……大好きです」