誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





なぜかわたしはあの時律に自分の家庭環境を話してしまった 。


こんなこと初めて人に言った 。




「 そうなんだ 」



律はそれだけ言ってまた静かになったと思ったら 。




「 … 僕も両親のことは好きじゃない 」




律の 『 好きじゃない 』 とわたしの 『 好きじゃない 』 は違うと思ってた 、 最初は 。




「 いつも 、 完璧を求められる
真面目じゃないとダメみたいなんだよ 」




そう言う律の悲しそうな笑顔が今でも忘れられない 。


わたしは何もわかってなかった 。


律も辛かった 。 わたしは律の表面しか見てなかったんだ 。