『 今バイト終わった〜 ! これから帰るよ 』
透子ちゃんにメッセージを送る 。
俺が勝手に報告してるだけなんだけど 、 毎回律儀に 『 お疲れさまです 』 と返信してくれる 。
今日は 『 傘持ってますか ? 』 の文も付いている 。
関係者専用の出口から出た瞬間雨の音が煩いほど聞こえる 。
家出る時は晴れてたから傘要らないと思ってたのに …
『 傘ないから買って帰るよ 』 と返信したけど 、 この近くのコンビニは結構距離がある 。
真冬の雨に濡れるのはキツい 。
小さいショルダーバッグを傘代わりにしようとしていた時 、 透子ちゃんから返信が来た 。
『 バイト先まで傘持って行ってもいいですか ? 』
透子ちゃんの優しさにキュンとしていたらすぐに 『 小野くんが迷惑じゃなければ … 』 と来て 、 文面からも自信が無さそうなのが分かる 。
「 持って行きましょうか 」 じゃなくて 「 持って行ってもいいですか 」 って言うところもなんか可愛いし 。
本当は今すぐ来て欲しい 。
傘がどうとかじゃなくて 、 会いたい 。
けど 『 でも透子ちゃんに面倒でしょ ? 』 と気持ちを抑えて返信した 。
『 実は傘渡すついでに
私が会いたいだけなんですけど … 』
もう理性がぶっ飛びそうだ 。
この文章でさえ愛おしいのに 、 今頃透子ちゃんは迷惑じゃないかなとか言って俺に気を遣ってるんだろうなって考えると嬉しすぎてにやけてくる 。
『 じゃあ来てもらおうかな !
俺も透子ちゃんに会いたいし 』
会いたいって気持ちすら共感することが難しいのに 、 好きって気持ちも共感している 。 誰かと同じ気持ちなのがこんなに嬉しいとは … なんてしみじみ思う 。