「 う〜 ! 寒いね ! 」



小野くんは片手をコートのポケットに入れてもう片方の手でわたしの手を握る 。



「 今日も楽しかったです
 ありがとうございました 」



「 俺も楽しかったよ ! ありがとうね 」




少しの沈黙のあと 、 わたしはぽつりと呟いた 。



「 小野くんは 、 わたしと居て疲れませんか 」



「 ぜんぜん ! むしろ癒される ! ! 」



「 小野くんはいつも優しいから …
 わたしは与えられてばっかりなんじゃない
 かって不安になります 」



「 そっか … 」 と少し悩む素振りを見せた後小野くんが言った 。



「 ん〜 … じゃあ1つ言うならね 、
 もっと甘えて欲しい ! 」



「 これ以上 … ですか ? 」



「 そう !
 透子ちゃんはいつも俺に
 気を遣ってくれるけど 、
 俺は透子ちゃんの為ならなんでもしたいの
 だからその気持ちに甘えて欲しい ! 」



「 なるほど … 」




「 でも 、 俺もちゃんと透子ちゃんから
 色んなもの貰ってるよ
 透子ちゃんの気遣いも嬉しいよ 」




他の恋人たちがどんな風に甘えているのか分からないけど 、 わたしは他の人よりもちゃんと甘えられなかった自覚がある 。