誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





今ここで比べるべきではないのは分かっているけど 、 律とのキスとは何もかもが全然違う 。


手を触れ合ったり抱きしめ合う事以上にキスは生々しいけど 、 口から漏れていくみたいに小野くんから好意が伝わってきた 。


ただ生きている人間の体温が唇に集中するようなキスとは全然違う 。




5秒くらい唇が触れていたと思う 。



5秒がすごく長く感じた 。




唇が離れていくとわたしは閉じていた目をゆっくり開けた 。


目には小野くんの顔しか写らない 。



当たり前のことがどうしようもないほどに幸せだった 。



目が合うと小野くんは笑った 。




「 もう一回しない ? 」



小野くんがふざけたように言うから今度はわたしからキスをした 。


小野くんの首に腕を回して太ももの上に座った 。


唇が離れた後 「 ずっとこのままがいいなあ 」 と言われてはっとした 。



「 … だめです 、 勉強しましょう 」



「 え〜 ! ! 」



小野くんから離れてトートバックから勉強道具を取り出す 。


表面では冷静っぽく振る舞っているけど顔が赤くなっているのがわかる 。




「 … 自分で言ったのにあれですけど 、
 勉強に集中できる気がしません … 」



元の定位置に戻った小野くんは 「 俺も ! 」 と言って2人で笑い合った 。



「 でもこれ以上キスしたらマジでやばいから
 透子ちゃん俺に勉強教えて ? 」



何がどうやばいのか分からないけど 、 小野くんに勉強を教えることで頭を少しずつ切り替えていくことにした 。