小野くんが飲み物を入れてきてくれる間 、 ただ小野くんの部屋でじっと待っている 。



白を基調とした六畳ぐらいの部屋で意外と物が少ない 。


デスクにも電気と置き時計が置かれてあるだけで余計な物がない 。


白い棚には漫画や雑誌が数冊ある程度 。

思っていた通り小説のようなものは見当たらない 。


棚の一番上にはCDが何枚かあってわたしが前好きだと言っていたアーティストのCDだった 。


わたしが聴いてたからかな … なんて少しむず痒い気持ちになった 。



落ち着かないから部屋を歩き回っていると足音が近づいてきたので慌ててベットの横に置かれているテーブルの近くに座った 。




「 ごめんね時間かかっちゃって 」


「 いやいや ! ありがとうございます 」



小野くんが部屋に入ってくるとあたかもずっとここで座っていたみたいな冷静な顔をしてみる 。



小野くんが持ってきてくれたお茶は湯気が出ていて小さな気遣いが感じられる 。



「 緑茶飲める ? 」



「 飲めます 、
 温かいお茶ありがとうございます 」



緊張しているのが嘘みたいに自然と笑顔が出た 。




「 あの … ご両親は居るんですか ? 」



わたしが聞いてもいいのか分からないけど家の中があまりにも静かで聞かずにはいられなかった 。




「 ああ 、 居ないよ
 だから緊張しなくていいよ 」



「 えっ 」



わたしはご両親が居ても居なくても緊張する 。


だってこんなの絶好の機会じゃん … !



絶好の機会という言い方はわたしが期待してるみたいになってしまう …



いやでも小野くんともっとキャッキャウフフできるのでは … いろんな考えがぐるぐる回っている 。




「 あははっ !
 大丈夫 、 変なことしないよ 」



わたしの考えが分かっているみたいに小野くんは笑いながら言った 。