「 だって … !
もう小野くんしか見えてないので !! 」
2、3歩歩いて小野くんの両手を掴む 。
もう1メートルもない距離で小野くんを見上げないと顔が見えない 。
俯いてた小野くんの顔を見ると目を見開いている 。
「 小野くん ! 好きです !! 」
もうここからは勢いで行くぞと決めた 。
「 え … !? 嘘でしょ … ? 」
小野くんが一歩下がって目をキョロキョロさせた 。
「 気づくのが遅くなってごめんなさい
… わたしずっと小野くんのことが
好きだったみたいです 」
「 え … じゃあ市川くんのことは … 」
「 最初から恋してなかったんです
… ずっと依存してただけみたいです 」
「 … だから 、
わたしでよければ付き合って … 」
一瞬掴んでいた手が離れたと思ったらすぐに小野くんの腕の中にすっぽり入った 。
「 てことは今から
俺だけの彼女ってことだよね ?! 」
「 … はい 」
「 ありがとう … !
やばい 、 死にそう ! ! 」
小野くんの腕が小刻みに震えているのが体から伝わってくる 。
心臓の音が聞こえるけどもうどっちの心臓の音かわからないくらい2人でドキドキしていた 。
「 やっと … 恋人になれた … っ ! 」
「 あの 、 ふ 、 ふつつか者ですが …
よろしくおねがいします 」
自分が何を言っているのか分からないくらい心がふわふわしている 。
自分を好いてくれる人がいて 、 自分も好きになって 、 両思いになれることって奇跡に近いんじゃないか 。
「 はははっ !! こちらこそだよ 」
しばらくわたしは小野くんの体温に包まれていた 。
まだ熱く感じるけどその熱が心地良かった 。