誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





やっと掃除が終わった時 、 小野くんのメッセージに返事をしてから30分が経っていた 。



今向かうとメッセージをして教室に戻るために階段を駆け上がる 。




「 わっっ 」



廊下の曲がり角で誰かと体当たりしそうになる 。


ぶつかる前に脚が見えたから避けることができたけど … 焦っても良いことがない 。




「 … 透子 ? 」



「 あ … 律 … 久しぶりだね 」




こんな時に律と会ってしまうのも人生の仕組みなのかな 。



律とは同じクラスでも関わることがない 。



こうやってちゃんと律を見るのも久しぶりだ 。




「 …… ごめんね 、 じゃあ行くから 」



「 待って 」



律を通り過ぎようとした時呼び止められる 。




「 … ごめん
 透子にたくさん酷いことしたから 」




「 わたしもごめんね
 … わたし律の優しい部分しか見てなかった
 寂しさを埋めるとか言って 、
 結局は他の人と同じだったね 」




律にちゃんと笑顔を見せるのはこれが最後だと思う 。




「 いや … それでも透子がいてくれて良かった 」



律は困ったような顔をした 。




「 … あのさ 、
 完璧じゃない律も
 人間らしくて好きだったよ
 … ちょっと自己中だったけど 」



わたしがそう言うと律はへへっと苦笑いした 。



「 … 僕達 、 本当の友達になれないかな 」




わたしは少し悩む仕草をして 、



「 うーん … 無理だと思う ! 」



その言葉に反して明るい声で答えた 。



「 そうだよねぇ 」



律はまた笑った 。




「 … 小野くん 、 教室で待ってたよ
 用事 、 あるんじゃないの ? 」



「 そう !! じゃあもう行くね 」




「 何がとは言わないけど応援してる 」



「 律も頑張ってね 」




律はわたしを通り過ぎていった 。





初めて律とこんなに本音で話せた気がした 。



もう話すことはないだろうな 。


少し寂しいけど 、 仕方ないね 。