誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





その女の子は中川さんと言って 、 違うクラスだけどわたしでも名前は分かる 。



美人さんで有名な女の子で背も高くて小野くんと絡んでる所を何回か見たことがある 。



大人っぽい顔立ちで朝顔の浴衣がよく似合っていた 。



「 蒼介って女の子には誰でも
 話しかけちゃうからさ 、
 透子ちゃんも大変だよね 」



なぜか分からないけど中川さんは他の小野くんのファンとは違う気がした 。




「 え … いや … そこまででは … 」




「 ウソ !!
 私と付き合ってた時もう大変だったの !
 いつもくっついて甘えてくるし …
 あの時は犬みたいで可愛かったな …
 村田さんにはくっついて来ない
 みたいで良かったね 」





これは … マウントを取られてますか ?




「 … そうなんですか 」




「 蒼介は好きになってくれた女の子みんなに
 優しくするけど 、
 本当に好きな人には甘えん坊になるから
 村田さんは蒼介の言うこと
 真に受けない方がいいよ 」




この人は小野くんの本当の彼女さんだったんだ 。



小野くんの言葉を信じていないわけではないけど 、 なんだかモヤモヤする 。



中川さんはわたしが知らない小野くんを知ってる 。



でも何か言ったら負けな気がする 。



自分のことなのに 、 この悲しいようなイライラするよな気持ちをうまく言葉にできない 。




「 分かりました 」




口角を上げて出来る限り明るく振る舞う 。



中川さんはわたしに近付いて耳元で囁いた 。




「 もしかして 、 もう飽きられちゃった ? 」



後ろにいる3人はこっちを見て 「 性格わるっ ! 」 なんて言うけどわたしを助けようとすらしてくれなかった 。



やっぱりわたしはこういう人たちが苦手だ 。



自分が的になった気分だ 。


とりあえず早く居なくなりたい 。




「 透子ちゃんに何してんの ? 」




後ろから小野くんの声が聞こえた 。