誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





そんな言葉を言ってくれる人もいなくて 、 律とは傷の舐め合いばっかりして来たから父との関係は受け入れるしかないと思ってた 。



でも変えられるなら 、 まだ間に合うなら 、 お父さんと前みたいに話せるようになりたい 。




「 はあ … もう小野くんには
 数え切れないくらい救われてます 」



自分の消極的さと無力さに呆れてしまうほど 。




「 いやあ … 俺も透子ちゃんに救われてるよ
 課題もそうだし ! 」




「 割りに合いません !
 本当に助けてもらってばっかりで …
 それなのにわたし何もできてませんね 」




小野くんはハハっと笑った 。




「 じゃあいつか俺の頼み聞いてくれる ? 」




「 もちろん聞きます !
 夏祭りの時なんでも言ってください 」




「 それは別 ! 」




「 … ? そうなんですか … ? 」





ひとりぼっちの夏も慣れていたけど 、 誰かと過ごす夏も悪くない 。