誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





「 そうだった … 」



「 でも俺は2人の方がいいけどね ? 」



ニヤッと笑う小野くんから目を逸らす 。




「 あっでもお祭り夜からだから
 透子ちゃんのお父さん心配するよね … 」



「 大丈夫です
 父はいつも仕事で家に帰ってきませんし
 … わたしにも興味ないので 」



あ 、 小野くんの話を遮ってしまった 。


こんなこと言いたかったわけじゃないのに …




「 … それはお父さんに言われたの ? 」



「 …… 言われてませんが …
 母がいなくなってから話す事も減って
 わたしを避けてるように見えるんです 」




そっか 、 と呟いた後小野くんは黙ってしまった 。



少しの沈黙のあと小野くんが話し始めた 。



「 でも本当は
 興味がないんじゃないかもしれないよ ?
 一回だけでもいいから
 お父さんの気持ち聞いてみたらどうかな 」



「 身内だからって仲良くする必要はないけど
 本当のこと分からないままは
 モヤモヤするでしょ ? 」




小野くんはいつも前に進む勇気をくれる 。


わたしはいつだってきっかけを他人に求めてしまってた 。



「 … そうですね 、
 父がどうしてわたしを避けるのか
 本当の気持ち知らないと進みませんよね 」




「 うん
 もし透子ちゃんが思ってた
 お父さんだとしても 、 俺がいるから !
 いつも味方だから 」



泣きそうになっちゃうじゃん 。