「 … なんでありがとうって言ったの 」
歩き始めるわたしの腕を掴む 。
「 だってわたしのために怒ってくれたから 」
「 は … ? 透子まさか … 」
律が思うような気持ちは断じてない 。
だけどすぐそう言う思考になるくらい律はわたしの気持ちなんて分からない 。
「 律も !
なんで特別な人なんて言ったの ?!」
これは半分八つ当たりみたいなものだ 。
小野くんの言う通りわたしは律に大切にされてないかもしれない 。
でも特別だなんて言われたら嬉しくなってしまう 。
依存か好きかなんてもっと分からなくなっちゃう 。
さっきの小野くんの言葉を思い出す 。
「 だって 、 本当のことだし … 」
もう今は依存とかなんやら考えたくない 。
「 わたしも帰る 。 … 一人で帰らせて 」
律の腕を払い走り出した 。
好きなのに 、 その気持ちが歪んでしまう 。
好きなものと自分だけの世界なら 、 幸せだったのに 。