誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





「 … ちょっと … 頭整理させてください
 … もう帰りますね 」




体がふわふわしてるみたい 。


扉へ歩いているはずなのに浮いているみたい 。




「 … 聞きたくない事言ってごめん
 … でももう市川くんのせいで
 苦しむ姿は見たくないから 」



知ってる 。



恋ってこんなものだったっけって思うことがよくあった 。


恋ってドキドキしながら明日が待ち遠しいはずなのに 、 わたしはそう思えなかった 。




「 大丈夫です … こちらこそごめんなさい 」




ふわふわした足取りのまま教室から出る 。




「 透子 ? 」



帰ったはずの律が目の前にいる 。