誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





今わたしの両手は頭の上にあって小野くんに掴まれたまま身動きできない 。


無防備になったみたいでさっきの不安を上回るくらい怖くて不安 。



「 いやっ … !
 もういい加減にしてくだい … っ ! 」



「 俺の名前呼んでくれたらやめるよ 」



「 小野く … 」



「 違う 。 蒼介って呼んで
 …… アイツの名前を呼ぶみたいに 」



「 なんでですかっ … 」



「 呼んでくれなきゃ 、 酷い事するかも 」



小野くんのもう片方の手がわたしのお腹に触れる 。



「 ほんとにいやっ !!
 やめてよ … っ ! 」



「 泣くほど嫌なら俺の名前呼んでよ 」



小野くんの手は這うように徐々に上がってくる 。