誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





「 俺はアイツじゃないから
 ただアイツじゃなくてもいいって事を
 分かって欲しかっただけなんだけど 」



「 ずっと比べるんだね 」



当たり前じゃん 。


わたしには律しかいないんだから 。



小野くんが離れていく感覚がする 。




「 ネクタイ取ってください … ! 」



そう言っても取ってくれる気配がないから自分で取ろうとする 。



「 じゃあお願い事聞いて ? 」



ネクタイの結び目を緩めようとした両手はわたしの頭上で扉に押さえ付けられる 。