誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。





家まで送ってもらう義理はない 。


どうせ帰ってもすることないし 。




「 … でもきっと市川くんは
透子ちゃんの家まで知ってるんでしょ … ? 」




競歩の選手かってぐらい早歩きしてた足を止める 。



「 … そんなこと言って
わたしが折れると思ったんですか ? 」



実際のところ折れそう 。



わたしが嫌がっても強引についてくる 。



すぐ律を話に出すんだから …




「 8割本音だよ
だから家まで送る ! 」




小野くんの可愛らしい笑顔には口答えできなくなっていた 。