誰も見ないで 、 僕だけを選んで 。




𓂃𓈒𓂂𓂋




やっと体育倉庫が静かになった 。




「 透子が 『 わたし 』 から 『 あたし 』
に変わる瞬間が一番好き 」




律が片足をマットに乗せて前のめりになる 。


壁に寄りかかるわたしの髪に触れる 。




「 … やめて恥ずかしい 」




なんていって上目遣いする 。



本当はやめないで欲しい 。 わたしだけを見ていて欲しい 。




「 ふふっ … 透子かわいい 」



律に笑われる 。