優「じゃあ、座って。」

そう言ってポンポンと椅子を叩いた優兄。


俺が椅子に座ると聴診を始める優兄。


優「もう大丈夫そうだな。」


駿「?」


優「別荘にいるときちょっと喘鳴聞こえてたんだよ。一応気をつけろよ。」


駿「うん。」




優「じゃ、次血液検査な。」


そう言うと湊斗兄が準備し始める。

正直俺も採血は苦手だ。


でも美音がいる今はそんなことも言ってられない。


準備が終わったころ俺は左腕をまくった。

優「じゃー刺すよ。」


チクリと痛む左腕。

でも、心なしかそんなに痛みは感じなかった。




優「終わり。次美音な。」


美「……っ!…うん。…ヒック…」



前の美音とは違って「嫌だ」とは言わない…

まだ迷惑とか考えているんだろうか。



頑張ろうとしている行動とは裏腹に震えている美音。


駿「美音、こっちおいで。」

そう手を引くと美音はゆっくりと椅子に座った。


目にたくさんの涙を浮かべて今にも溢れてきそうだ。


俺は気が付けば美音の手を強くぎゅっと握っていた。






美音も俺同様にすぐに聴診が終わり、血液検査、そして今回は心電図もするらしい。


母さんとのことがあった時、ストレスによって美音に現れた体の不調として軽度の不整脈が出ていたからだと思う…