駿「おい美音。拗ねんなって!」
美「駿介が意地悪ばっかり言うのがいけないんだもん。」
心配する駿介から逃げるように足場の悪い森林をスタスタと歩く私。
こんな時でもここは空気が気持ちいい。
駿「美音ー!本当に危ないからそんな急ぎ足で……美音!!」
美「きゃーっ!」
駿介の私を呼ぶ声と私の叫び声はほぼ同時だった。
早歩きしていたせいで足を滑らせて急斜面に転落してしまった私。
咄嗟に庇ってくれた駿介のお陰で私は怪我をしなかったけど…
駿「美音!怪我してないかっ!!」
美「うん…。」
駿「良かった。気をつけろって言っただろ!」
美「ごめんなさい…」
駿「これくらいの高さなら登れなくはねぇな。」
そう言って急斜面を見上げる駿介。
美「でも結構高いよ。」
駿「大丈夫だよ。これくら…ぃ……っ!」
美「……駿介?」
立ち上がった瞬間顔を歪ませる駿介。
駿「いや、大丈夫。俺が登って美音を引っ張るから。」
明らかに様子がおかしい駿介。
足を見てみると膝は擦りむき、足首も腫れている。
……私を庇ったせいで。
私がちゃんと見て歩いていれば。
美「ごめんなさ…ヒック……」
駿「大丈夫だから泣くなって。」
美「だって…だって…ヒック」
大粒の涙が溢れてくる。
それを見た駿介は私の涙を指で拭ってくれる。
そして……
美「………っ!?」
泣いてる私と駿介の2人の唇が重なった。
驚きのあまり涙が止まるのを見て駿介はにっこりと笑い
駿「ほら。もう泣き止んだ。」
と言って頭をポンポンと撫でてくれる。
駿介は大丈夫って言っていたけどわたし達は気付いて助けに来てくれるだろうと優也兄と湊斗兄を待つことにした。