「.......っ、なんで」



杉浦くんがなぜあたしを追いかけてきたのかは、わからない。
でも、追いかけてくれたことを嬉しく思ってしまう自分が嫌だ。
追いかけてもらうことを、求めたりしてはいけなのに。



「なんかあった?」


「あなたのせいじゃん.......」



杉浦くんがあたしに構わないでいてくれたらよかった。
そしたら、何も変わらず、誰とも関わらないで、女の子たちの視線も男の人たちの視線も気にならなくて済む。
昔を思い出さなくて済む。



「俺のせいってなにが?」


「あたしになんかに構うから.......クラスの人気者でしょ?自分の立場、考えてよ」


「なんだ?立場とか。俺が誰かに話しかけるってそんな重要なことか?」



意味が分からないというように、首を傾げる。



「杉浦くんにはわからないことだよ」



この人には、こういう経験が無いのだろう。
女子特有のアレがわからない男の子は少なくない。



「なあ、お前さ前いたことでなんかあったんだよな?」


「.......っ」