あたしの身体はもう、汚れているというのに。
ひとつ嘘をつけば、また嘘をつかないといけなくなるのに。
それでもあたしは、大我には知られたくないことがあった。

べつに、初めてじゃなかったからといって、それが知られるわけではない。
それでも、知られたくないがために、あたしは嘘をついてしまった。

大丈夫、あたしが初めてかどうかなんて、知る人は大和以外にはいないんだ。
大和に大我が会うことはないし、樹生くんが大和になにか聞かない限り大丈夫だろう。
もう、そんなに連絡は取ってないっぽかったし。



｢そっか、碧の初めてが俺になるとかすげー嬉しいんだけど｣


｢大我は？｣


｢.......俺は、まぁ｣


｢あー、あるんだ？｣



自分は隠してるけど、大和と経験があるくせに、大我が誰かと経験があることが嫌だって思ってしまう。
本当なら、そんなの塗り替えてしまいたいくらいだけど、今のあたしにその先に進む勇気がない。



｢一応な。でも、好きなやつじゃなかった｣


｢おお、遊び人だー｣


｢違うんだよ。幼なじみの女がいて、そいつが転校するときに一度だけって｣



困ったように頭をポリポリとかく。