「兄貴、見すぎ。俺だってそんなずっと見れない」



大我がお兄さんの目を自分の手で塞ぐ。



「いや、大我が恋なんてしないと思ってたから珍しくて」


「兄貴ー?俺だって男の子なんですけど?」


「ほら、瑠樺ちゃんのこととか色々あったし、あにとしては心配してたわけよ」



お兄さんの前に出されたご飯を口にする。



「いいよ、もう。その話は忘れた」



──瑠樺。
さっきからお母さんの口からも出た名前。



「忘れたって、お前だいぶ落ちてたろ。瑠樺ちゃんいなくなった時」


「瑠樺のことはもうほんと、過去の教訓でいいんだ。もう、過ちはおかさないって。だから、碧に声かけた」


「え?あたし?」


「詳しくは言えねーけど。瑠樺が俺のせいで苦しんだから、その罪滅ぼしだったのかもな。俺は碧を守るってきめた」


「.......そうなんだ」



過去になにがあったのかはわからないけど、瑠樺さんのことがあって、大我はクラスで浮いてるあたしのことを放っておけなくなったのかな。

だとしたら、あたしに大我を出会わせてくれた瑠樺さんに感謝かな。

この、出会いは大切にしたい。もう、逃げたくないって思ってる。