恋なんて、しないはずだった

「あれ?もしかして、バレてないと思ってたの?」


「う、うん.......」


「あ、ほら.......慎吾がボール持ってるよ!」



グラウンドに視線を戻すと、慎吾の足元にボールがあった。



「慎吾ー!いけー!」



ほかの女子に負けず劣らず、相変わらずの大きな声でアズが叫ぶ。



「わーーーーーっ!」



アズの応援のおかげか、慎吾の放ったボールはゴールへと一直線。
キーパーの手を弾いて、ゴールの中へと入っていった。



「カッコイイなぁ。慎吾」



普段のアズからは想像ができない言葉だ。
アズは素直じゃないから、慎吾自身にはこんなこと言わない。



「慎吾にも素直になればいいのに」


「なれないよー。今更だよ」



昔から仲が良いふたりは、ずっといまの関係を続けてきたんだという。



「あ、次は大我だ」



アズの言葉に顔を上げると、大我が相手からボールを奪って、仲間うちにパスをして、さらに自分へとまたパスをもらう。



「大我って、サッカーうまいの?」


「サッカーというか、あいつはなんでもできるよ。スポーツだって勉強だって」


「うわー、無敵」



そんな、無敵な人があたしのことを守ってくれているだなんて、本当に幸せなんだなと感じて、あたしは戦況を見守った。