恋なんて、しないはずだった

「わーっ」というすごい歓声のもと、試合が開始された。

「大我ー」とか、「杉浦くーん」とか大我を応援する声が一番多い。



「ほら、碧ちゃんも」



トントンとあたしの背中を叩く。



「う、うん.......」



そんなに同じクラスの人達がいないところをえらんだし、たくさんの声援のなかに紛れれば、きっとバレることはないと思う。
でも、バレたらという臆病な心が出てしまう。

──ほら、あの子でしょ?大和くんの!

また、地元の高校での好奇の目が脳裏に浮かぶ。

でも、ここで応援しないと、きっと後悔するって分かってる。



「.......っ、大我!頑張れ!」



すうっと深呼吸をしてから、叫んだ言葉は他の声援に混じっていたし、誰にもバレてはいないと思う。
本人ですら気づいてないかと思うくらいだったのに、大我はあたしが叫んだ瞬間、こちらに向けて親指を立てて応えてくれた。



「ほら、届いたね」


「う、うん.......」



あたしの声なんて、すごく大きな声でもないし、他にもっと大きな声の人もいたし、かき消されて当然だと思ってた。